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ACM RecSys2013論文感想 その1

Amos Azaria, Avinatan Hassidim, Sarit Kraus, Adi Eshkol, Ofer Weintraub, Irit Netanely: Movie Recommender System for Profit Maximization, ACM RecSys2013, pp. 121-128
 
推薦システムを導入している企業の利益を最大化するためのアルゴリズムを提案している.この研究の良いところは,基本となる推薦アルゴリズムはブラックボックスとして扱っており,それが出力する順位だけを利用している点にある.
 
アルゴリズムは2つ提案している.1つは,ユーザに価格は示さない.月額制などの固定サービスにおいて,企業が見てもらいたいと思っているアイテム(企業がその映画を見てもらいたいと思っている度合いであるプロモーションバリューv(m)がついている)を選択してもらうことを最大化するものである.このアルゴリズムでは,ユーザがある順位においてそのアイテムを選択する確率を考慮する.この確率を算出する関数は,いくつかの単調減少関数(線形,指数,対数,累乗)から最適なものを実験で求めている(実際には線形が良いと報告している).
 
映画mの提示される順位をr(m)とすると,それが選択される確率は,
p(m|r(m)=α-β・r(m)
で表される.推薦アルゴリズムでは,この確率とv(m)を足して,推薦スコアとしている.
s(m)=p(m|r(m))・v(m)
 
もう一つのアルゴリズムは,ユーザに価格を示すものである.価格が高いほどユーザは選択しないことを想定している.そして,上記のアルゴリズムと同様に順位が低いほどユーザは選択しないことを想定している.この2つの傾向から,ユーザがある順位である価格で提示されているアイテムを選択する確率を求めている.
 
これを求めるのに,まずは順位r(m)からの確率と価格f(m)からの確率を個別に求めている.これらも先と同様にいくつかの単調減少関数からのフィッティングをはかり,いずれも対数関数が良いとしている.さきほどの線形関数より勾配が緩やかになるのだが,これは順位と価格の両方考慮することにより,それぞれの影響が小さくなったからだと思われる.
 
p(m|r(m))=α-β・ln(r(m))
p(m|f(m))=α-β・ln(f(m))
 これらを統合するのだが,その統合方法は理論的に妥当なのかも,理論的には問題があっても実用上問題がなければ良いのだが,実用上問題がないのかも不明.統合の基本アイディアは,ある順位で固定して考えた時に,その順位での選択確率に補正項を加えると,価格による選択確率に等しくなるというもので,その補正項を求める.
そして,p(m|r(m),f(m))を求めるのに,p(m|r(m))に計算した補正項を足して,任意の順位に適用している.しかし,順位と補正項の関係は,順位によらず固定ではないと思われるため,ここの理論はあっているかどうかはかなり微妙である.
 
前者のアルゴリズムの評価では,推薦してユーザが選択したアイテムの企業が販促したい度合いの平均がいくらかで行っている.元の推薦アルゴリズムに比べて,提案アルゴリズムはその値が高くなっていることを示している.
 
後者のアルゴリズムでは,売り上げが伸びるかどうかを調べている.元の推薦アルゴリズムに比べて,提案アルゴリズムの方が,ユーザの選択したアイテムの価格が高くなることを示している.
 

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