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IFIP INTERACT 2013 参加報告1日目

ヒューマン・コンピュータインタラクションの国際会議INTERACT 2013に参加してきましたので,その参加報告をいたします.
 
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INTERACT 2013は,南アフリカ共和国のケープタウンで行われました.
 
参加者は37か国から356人(事前登録)でした.日本は,9番目に参加者が多く14人の参加でした.
 
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カンファレンスバッグが,いくつもデザインの種類があり,自由に選べました.皆,どれにするか悩んでいました.
 
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地元の人たちによる手作りだそうです.こうして雇用を生み出すことも,この国では重要なことのようです.
 
正確な採択率は不明ですが,全カテゴリで総投稿数が639件.そのうち,
フルペーパー:128件
ショートペーパー:77件
インタラクティブポスター:31件
とのことです.
 
 
INTERACT 2013 招待講演 Abigail Sellen氏
 
招待講演について報告します.
 
Designing Hybrid Input Paradigms
Abigail Sellen (Microsoft Research Cambridge UK)
 
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音声やジェスチャなどを用いたマルチモーダルインタラクションの研究は古くからおこなわれている.しかし,マルチタッチや正確なジェスチャ認識を用いたマルチモーダルインタラクションは近年になってようやく実現したものである.これらの新たなインタラクション手段は,インタラクションのデザイン空間を広める利点がある.また,逆に複数のインタラクション手段が併存することによる複雑性ももたらすことになる.この講演では,彼女の研究グループでの研究事例を基に,マルチモーダルインタラクションにおいて,何を考慮して設計すべきか,一つの知見を述べている.
 
一つの研究事例は,音声とジェスチャによって外科的手術を支援する研究である.画面に手術すべき血管の3次元モデルが表示されており,それをジェスチャにより,拡大・縮小したり,違う場所を表示させたりしている.
 
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このようなマルチモーダルIFは手術と言う状況を考慮して設計すべきだとしている.例えば,以下のようなことを考慮しないといけないと述べている.
・片手の操作にすべきか,両手の操作にすべきか
・手先のジェスチャのみか,全身のジェスチャにすべきか
・動かせる空間範囲(空間的制約)
 
この研究で得た知見としては,
・音声によりモード変更,ジェスチャにより空間操作が適している
・マルチモーダルの入力は,明確なフィードバックが必要である
・ユーザにとって,可制御であることと,自動化されていることが,適切に分けられていることが重要である
と報告している.
 
個人的には,最後の可制御であることと,自動化されていることという観点は興味深いと思う.これは情報推薦を含むパーソナライゼーションやユーザ適応でも言えることで,何が適応されるのか,何が自分で制御できるのかは,適切に設計されていないと,適応したものを活用しようとしなかったり,せっかくよりよく適応してもらえるはずなのにその制御をおこなわなかったりするからである.
 
もう一つの研究例は,"Two foot PC"というデスクトップの操作環境を拡張するものである.ディスプレイ上に置いた小型カメラによりキーボード上部(及び左右)の映像を撮影し,そのうえでの手のジェスチャを認識し,それを入力に用いるものである.
 
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例えば,キーボード横で手をフリックさせることでスクロールさせたり,拡大縮小させたり,というマルチタッチスクリーンと同じことができる.また,キーボード上で手のひらを返すことで,前面にくるウィンドウを切り替えられるようになっている.また,二つの手のひらを並べることで,ウィンドウを並列に並べることもできる.
 
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これは,実世界で手でオブジェクトを操作するメタファーを利用しており,非常に直感的であった.
 
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彼女は,複数の入力手段があることを,代替ではなく増強であるとしている.これはまさにその通りであると思う.
 
User preferences and behaviourのセッション
(1) Characteristics of Elderly User Behavior on Mobile Multi-Touch Devices Susumu Harada, Daisuke Sato, Hironobu Takagi and Chieko Asakawa
IBM Research, Tokyo Research Laboratory
 
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高齢者に,iPhoneとiPadを渡し,電話番号を入れるタスクと,アドレス帳から特定の人のアドレスを選択するタスク,地図アプリケーションで東京からロンドンまでたどるタスクを行わせ,そのユーザ行動を分析している.実験では,特にフリックの動作に慣れていない人が多く.非常に短いフリックを多く行う人や,逆に非常に長いフリックを腕まで動かして行うような人までいることを報告している.地図アプリケーションでも同様で,ズームアウトを行わず,同じ縮尺で短いフリックを何度も繰り返している人がいたことを報告している.
 
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この行動を見る限りは,高齢者にとってフリックは相当に新しいインタラクションであり,かなり戸惑うことがうかがえる.会場からは,高齢者であれ慣れるのではないか?という質問があった.これには同感である.スマートフォンの操作と言うのは,テレビのCMやドラマなどで,日常的に目にすることが多くなった.そのうち社会に常識として埋め込まれ,そうなると今回の実験結果とは違う結果が得られる可能性がある.
今回の行動が変化していくのか,それともテクノロジーが浸透してもこのような行動が続くのか,引き続き研究していくと面白いと思う.

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