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ヒューマンインタフェースシンポジウム2012「ユーザ行動・ユーザモデル」ノート

2012年9月4日(火)~9月7日(金)に九州大学で行われましたヒューマンインタフェースシンポジウム2012に参加してまいりました.「ユーザ行動・ユーザモデル2」のセッションの座長をしてまいりました.「ユーザ行動・ユーザモデル1,2」と両方のセッションに参加しましたが,このセッション,面白い発表がありましたので,そのノートを公開します.

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意識的な休息に着目した知的生産性変動モデルの提案と評価
宮城 和音 , 河野 翔 , 國政 秀太郎 , 大石 晃太郎 , 石井 裕剛 , 下田 宏
( 京都大学 )

知的生産性の変化を数理モデルとして獲得するという研究.知的生産性と言うともっと高尚な仕事をイメージしてしまうが,実際には伝票分類タスクと足し算タスクという,どちらか言うと単純作業.

これまでに提案してきた3つのモデルを比較検討している.
・旧モデル1
作業ー非作業状態の遷移モデル
・旧モデル2
作業状態・短期休息・長期休息の3状態遷移モデル
・新モデル
集中(短期休息-作業状態)-非集中(長期休息)と階層的にモデル化

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実験は,実際に取得した作業記録データと,上記モデルで出力した作業にかかった各タスクの作業時間との照合で行っている

タスクは,以下の2種類
伝票分類タスク:伝票を27のカテゴリに分類
足し算タスク:隣り合う数字を足し合わせる


実験結果から新モデルが一番良かったことを示している.
新モデルが一番良いことを証明した

遷移確率(パラメータ)が実験課題に応じて適切にチューニングされているかどうかを質問したが,
適切にチューニングされているとのこと.

人間が仕事をするには,ずっと同じ効率で仕事をこなしているわけではなく,波がある.
それを上記のような状態遷移モデルでモデル化できることを示した点は非常に評価できる.


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場の拒否度と室員の割り込み拒否度の関連性の検討
青木 和昭 , 佐藤 茂樹 , 田中 貴紘 , 藤田 欣也 ( 東京農工大学 )

仕事中の割り込みに対する個人の拒否度を算出する研究は過去にいくつかある.という説明で始まったが,割り込みに対する拒否度というよりは,現在の仕事状況からどれだけ割り込みやすいか?ということを算出する研究であった.
キーストローク
カメラ・マイク
人間の認知モデル
アプリケーション切り替え

発表者らは,個人ではなく場の拒否度について研究している.職場の同室の拒否度という意味だが,個人ではなく部屋にいる構成員全体としての拒否度を測るというところが面白い.

真の個人の拒否度を作業情報から推定(PC操作量,頭部運動量など)
真の場の拒否度をざわつき・会話・動きなどから推定
場の拒否度は第三者が観察して正解データを与える

実際には,音圧,人の動き(OpenCVで取得)から測っている.

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入室イベントがあると場の拒否度は低下.一方,個人の拒否度は変化なし
会話があると場の拒否度が低下.
場の拒否度は,必ずしも個人の拒否度と一致しない点が面白い.

最後は,場の拒否度に影響する特徴のどれが重要かを知るために決定木で学習している.
識別率は8割とのこと.


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製品のデザインに関係づけられた乳幼児のよじ登り行動の計算モデル構築と分析
野守 耕爾 ( 産業技術総合研究所 ), 金 一雄 ( サキコーポレーション )
西田 佳史 ( 産業技術総合研究所 )

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製品の形状からどれくらいの確率で子供がよじ登るかを算出するモデルを開発
ベイジアンネットワークで推論.

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直方体の広さと高さを細かく変更
70種類のうちの10種類を部屋に置く.
箱は,被験者により変える.
65名分
被験者のよじ登りはセンサを使って自動で収集した.

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月齢が高くなるほどよじ登る確率が高い
高さが低くなるほどよじ登る確率が高い
という結果が得られたが,結果そのものは驚くべき結果ではない.

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ただ,
正方形よりも長方形の方が上る確率がちょっとだけ高かった.
月齢×高さで見ると,単調減少するわけではない.チャレンジしたくなる適度な高さがある.
という結果も,微妙な差ながら見られた.

これらは非常に面白い知見であるため,もう少しログを詳しく解析するなどして,明確な差があるかどうか確かめて欲しい.今後の発展が楽しみな研究である.


(3333S)
女子高校生の制服を対象とした「着くずしインタフェース」の分析
若林 里奈 , 小川 克彦 , 橋口 恭子 ( 慶應義塾大学 )

神奈川県県立高校女子145名を観察し,制服の着くずしには,
部分変化型:ネクタイなど
オーソドックス型:ありがちなきくずし(襟を空けている)
主張型:スカートの丈が極端に短い(カーディガンが極端に長い)
体系考慮型:体のラインをぼかす(タイツをはく.カーディガンゆったり)
規定型:規定通り
こだわり型:パーカーなど普通は着ないものを来ている
があることを発見している.

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これに対する印象評価を,様々な社会的立場の人を対象に実験している.
印象評価をSD法で聞いている

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社会的立場により,上記の各着くずしタイプごとに印象が違うことを示している点が面白い.
体系考慮型は男子のみ親しみを感じている
規定型は女子高生のみ個性的と考えている
(きくずしが当たり前)

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社会的背景がきくずしへの印象に影響を与えている可能性がある.
きくずしとそれを評価する人の社会的関係性について深く分析したら
面白い研究になると思われる.
これも,今後の発展が楽しみな研究である.

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