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国際会議WWW2010論文感想その8 (SNS,プライバシー,機械学習,UI)

国際会議WWW2010論文感想その8 (SNS,プライバシー,機械学習,UI)

Lujun Fang, Kristen LeFevre : Privacy Wizards for Social Networking Sites, Proc. WWW'10, 2010.
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS),プライバシー,機械学習,ヒューマンインタフェース
http://portal.acm.org/citation.cfm?id=1772727

SNSにおけるプライバシー設定を,半自動で設定してくれるプライバシーウィザード(プライバシーを設定するインタフェース)を提案している.

SNSにはプロフィールを記述するのに,属性ー属性値のデータがある(職業,性別,年齢,政治的信条,宗教的信条,・・・).これをいちいち友人ごとに,公開/非公開を設定するのは労力がかかる.これを半自動で設定してくれるインタフェースを提案している.具体的には,基本的には従来のSNSサービスでのプライバシー設定のように,友人ごとに,そして属性ごとに個別に設定していくが,いつ止めても問題がない.その後は,自動で設定してくれる.そして自動で設定してくれるルールを分かりやすい形で表示することにしている.

自動設定は,機械学習に基づいている.その学習では,友人を特徴ベクトルで表す.特徴ベクトルは,2種類存在する.一つはコミュニティで,コミュニティG1に属すれば1,そうでなければ0である.もう一つは,ユーザプロフィール(属性ー属性値のデータ)である.個別のプロフィール(一組の属性ー属性値)ごとに,判別器を学習する.判別器は,決定木によって学習している.

コミュニティは,あらかじめユーザを,ユーザプロフィール(属性ー属性値のデータ)を特徴ベクトルとして,Newmanのモジュール性に基づく階層型クラスタリングで抽出している.

実験は,Facebookを対象に行っている.評価では,判別器の性能を評価している.評価対象は,デフォルト設定との比較である.デフォルト設定とは,ユーザプロフィールの各属性に対して「全ての人」,「友人とネットワーク内の人」,「友人の友人」,「友人のみ」の4択から選択させて適用するものである.実験結果としては,提案の判別器の方が優れていることを示している.

<総評>
論文としてはかなり未熟な印象である.機械学習の論文としては,決定木を用いただけであり(コミュニティ抽出は行っているが),しかも評価実験での比較手法が一つの手動の公開ルールに基づくものだけであり,提案手法が考えられる様々な手法の中で最も優れているのかは判定できない.コミュニティ抽出との組み合わせに工夫があるとは言えるが,コミュニティ抽出はユーザプロフィールの属性ー属性値に基づいており,公開/非公開を判別する決定木の学習でももう1回ユーザプロフィールの属性ー属性値(とコミュニティ抽出結果)を用いており,効率の悪さを感じる.

ヒューマンインタフェースの論文としては,ユーザ経験に関する実験が全くない.ユーザは学習データの入力で疲れなかったのか?,予測結果に満足したのか?,抽出ルールである決定木を見てとった行動は?と言ったことが全く評価されていない.

機械学習の論文としても,ヒューマンインタフェースの論文としても中途半端.しかし,これらを組み合わせたところが,うまいところである.

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