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国際会議WWW2009論文感想その10

Yutaka Matsuo, Hikaru Yamamoto: Community gravity: measuring bidirectional effects by trust and rating on online social networks, Proc. of WWW '09, 2009.

情報推薦,協調フィルタリング,情報信頼性,情報信憑性,レビュー

おそらく世界で最初に,アイテムへのratingと自分のコミュニティ内での信頼関係の相互影響モデルを提案した論文である.基本的なアイディアは,以下の2つである.自分のアイテムへのratingは,自分がコミュニティ内で信頼する他人のratingの影響を受ける.自分の他ユーザへの信頼は,アイテムへの評価の類似性に依存する(これは下記文献[1]で述べられているモデルであり,新規の提案ではない).

(基本モデル)
・ユーザxのアイテムiへのrating = μ0×ユーザxのアイテムiへの現在のrating +μ1× Σ_{ユーザxが信頼するユーザ群y} x→yの信頼度 × ユーザyのアイテムiへの現在のrating
・x→yへの信頼度 = λ0×x→yへの現在の信頼度 + λ1×xとyのratingの類似度

研究では,@cosmeを対象に,ユーザ間の信頼度の予測と,商品の評価予測を行っている.x→yの信頼度の予測には,プロファイルに基づく特徴,商品レビューの類似度,信頼関係に基づくものの三種類の特徴量を基に行っている.SVMで予測している.高い重みの特徴量を出力すると,信頼関係に基づく特徴量が上位に来ているが,ratingの類似度に基づく指標もいくつか入っている.同様にして,商品の評価予測も行う.高い重みの特徴量を出力すると,多くがratingに関する特徴量であるが,いくつか信頼関係に基づく特徴量も入っている.

次にSVM回帰を用いて,ユーザxのアイテムiへのratingと,x→yへの信頼度の予測モデルを獲得し,係数を出力している.x→yへの信頼度は,上記の基本モデルの式と比較し,μ1,λ1に当てはめている.

モデルとしては非常に面白いと思う.しかし,このモデルを直接適用したというよりは,数ある特徴量を用いて学習したモデルを比較することにより,このモデルの一部のパラメータに当てはめて考えることができるということを示したに過ぎない点が残念である.実際にSVM回帰で得られたモデルは,上記基本モデルにない特徴量も入ってきており,上記基本モデルが実際のコミュニティに適用できるのか,あるいはこのモデルで全てを表現できているのかが分からなくなってしまっている点も気がかりである.

実験はさらに続き,
CG(Community gravity) = μ1 × λ1
という指標により,あるブランドや商品に対し,それを利用する利用者のコミュニティにおいて,ratingと信頼度構築の関係が盛んであるかどうかを算出し,これが高いブランドや商品を発見するということも行っている.CGの高さはブランドの強さを表すとしている.これは非常に面白い指標であり,マーケティング担当者にとっては,かなり強力な意表になるであろう.これを算出し,実際にCGの高い商品は伝搬ネットワークも濃いことを示している点は高く評価できる.

[1] Jennifer Golbeck, Bijan Parsia: Trust network-based filtering of aggregated claims, International Journal of Metadata, Semantics and Ontologies, Vol. 1, Issue 1, 2006.

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