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国際会議WWW2009論文感想その5

Rich Gossweiler, Maryam Kamvar, Shumeet Baluja: What's up CAPTCHA?: a CAPTCHA based on image orientation, Proc. WWW 2009, pp.841-850, 2009.

CAPTCHAと言えば,人間には読めて計算機による画像認識では認識できない文字を表示させて,Webでの人間か否かの認証を行うためのシステムである.しかし,解読が難しいほど変形させた文字があったり,携帯端末では文字を打つのが面倒臭かったりと,完ぺきとは言い難い.この論文では,回転させた画像を提示し,ユーザにそれを正しい向き(直立させる)に直させて認証するシステムを提案している.画像は,円形にしているため,外枠の角度だけでは正しい角度は認識できない.計算機では,画像の直立方向を判定することは困難であることを利用した認証システムである.

この論文では,
・Google画像検索により,キャプチャの候補となる画像を取得する.
・計算機による直立方向認識システム(筆者らによって以前に開発されたシステム・180個のAdaBoost分類器)によって,計算機が識別しやすい画像を取り除く.
・500人の被験者を集め,その人たちに直立方向を判定させ,誰もが同じ方向を直立とした画像のみ残す
ことにより,どうやってキャプチャとなる画像を選ぶのかを説明した点が貢献になる.

さらに,16人の被験者により,テキストのキャプチャと画像のキャプチャとどちらを好むのかをテストしている.

筆者の開発した直立方向の認識システムでは,画像を1/2×1/2から1/6×1/6まで分割し,各分割画像にて,RGB, 再度,水平エッジ,垂直エッジなどを特徴量として,合計3930の特徴量を用いている.論文には書いていないが,180のAdaBoost分類器を用い,直立方向の判定の一致度合いにて,画像が計算機により認識しやすいか否かを判定しているものと思われる.

画像の回転をキャプチャに用いるというアイディアは極めて面白い.直立方向の判定が計算機に可能か否かを複数の分類器を用いることで判定している点も評価できる(論文には明確に書いていないので,これは私の勘だが).ただ,その後,特別に集めた500人の被験者により人間にとって認識しやすいかどうかを判定している点は評価できない.これだけ人を集めれば,できるのは当たり前である.また,キャプチャの評価も単に好き嫌いのみで評価しているのもいただけない.キャプチャの認証にかかった時間やエラー率など,様々な観点から定量的評価が可能であろう.その辺りの評価がなかったことが残念である.

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