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Beyond Webの展望 @FIT 2010

2010年9月8日に,FIT 2010内の特別講演・パネル討論
「ポスト情報爆発へ向けて-Beyond Webの展望-」
http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2010/
に参加してきました.

特別講演は
森正弥氏(楽天技術研究所)
「インターネットサービス企業における情報爆発とその先」
でした.
講演内容は,楽天の推薦サービスを実現するための独自技術に関するものでした.

Webにおけるサービス企業が,自前でシステムやサーバを構築し,独自技術の開発に力を入れていることは,私にはかなりの驚きでした.

多くのWeb企業は,ガレージ企業のように,自前でシステムを開発し運用するのが事業の原点だとしても,いずれそれを外注する転換点が来ると考えていたからです.

特に情報推薦を実現するために,様々なエンジンを開発していることは注目に値します.

推薦のためのプラットフォームを構築していること,分散処理のためのエンジンを持っていること,そしてDBMSを持っていることは,かなりの競争力になるように思います.

これがIBMやNTTデータのようなソリューションカンパニーにできないのか?という疑問が湧くのですが,どうなんでしょう?

新興Web企業には,システム開発を外部に委託するという発想がないのかもしれませんが,もしかすると大手のITベンダーとは言え,情報推薦を実現するためのシステム開発は技術的に不可能なのかもしれません.通常の決まったトランザクションを実行するだけのシステムなら良いですが,メモリベース手法によるシステムは計算時間がかかります.

ユーザ,アイテム,レーティング,タグなどの複数の情報が存在し,それらの関係を見ないといけないとなると,独自技術を持っているかどうかが,他社との差別化になるように思います.

このような技術は米国が先を行っているわけですが,国内企業の楽天が米国企業と張り合うのは,非常にうれしく思います.

ちなみに当日,質疑応答の時間に,「なぜ自前技術にこだわるのか?」を尋ねたのですが,「なんでも自前でやるのが楽天流」という回答でした.理由はともあれ,楽天の今後には期待します.

以下,当日取ったノートです.

(1) 森正弥氏(楽天技術研究所)
「インターネットサービス企業における情報爆発とその先」
日本の流通 180兆円 eコマース10兆円
そのうち,2兆円が楽天

楽天スーパーDB
・レコメンデーション
・パーソナライズ
・購買予測
・KPIモニタリング

顧客満足度の向上
顧客満足度の高いレコメンデーションを実現

楽天の商品データは,各企業が提供
同じ商品の商品名が商店によって違う

データがカオスなので,レコメンデーションと言っても,
従来の手法を適用するだけではうまくいかない.

村上春樹が誰にでも推薦されてしまう
(よくある問題である)

TOHO
レコメンデーション・プラットフォーム
協調フィルタリング,画像処理などプラグインを入れるだけで,
推薦方式を変えることができる

最新のデータを使って推薦するほど,クリック率が高い

レコメンデーション,ビジネス上のインパクトは大きい.
売り上げに対してレコメンデーションからの購買は,1割や2割できかない.

GoogleのMapReduceのように自前で基幹エンジンを持っている.
「処理の分散エンジン」Fairy
「Key-Value-Store型データベース」ROMA

あなたが過去に見た・利用した商品を出す
→クリック率が50%近くある.
レコメンデーションよりも高い.
このような個人ごとのトランザクションデータは,従来のDB技術では
高速に引き出すことができなかった.ROMAにより実現可能となった.

楽天のデータと外部のデータを連携して,レコメンデーションをしていきたい
Rakuten EntameNavi
複数の外部の情報(Wikipediaを含む)を組み合わせて実現している.

データの公開とその活用が世界的に進む
Tim-verners-lee オープンデータとマッシュアップで変わる世界

楽天もデータ公開

楽天データチャレンジ
・楽天テクノロジーカンファレンス
2010/10/16(土)

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