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国際会議WWW2009論文感想その2

Thomas Karagiannis, Milan Vojnovic: Behavioral profiles for advanced email features, Proceedings of the 18th international conference on World wide web, pp. 711-720, 2009.

Microsoft Researchの研究.Microsoft Exchange serverのログを用い,100カ国にわたる100,000人以上から構成されるログを用いている.3ヵ月間の315,000,000通のメールを分析している.メールのログだけでなく,企業の組織情報(CEO, director, managerのような組織構造)も利用している.具体的には,
(1) メールの送受信の基本的な統計データ
(1日当たりの送信数,受信数,上位k人の相手がメールに占める割合,sender-receiverの組織構造における階級の差とメール数の関係)
(2) 返信に要した時間
(400の要素を持つキューを考え,そのキューにおける位置と返信に要した時間(返信時間)の関係を調べている.また,メールのデータサイズと返信時間の関係を調べている.sender-receiverの組織構造における階級の差と返信時間の関係を調べている.1日における受信メール数と返信時間の関係についても調査している)
(3) 返信確率
(メールの送信相手数と返信確率の関係,受信者から送信者に過去に送ったメールの数と返信確率の関係,共通するancestorと受信確率,前回のメール送受信からの時間と返信確率,データサイズと返信確率を調査している)
(4) 友人ネットワーク
コンタクトリスト中のユーザから2ホップ先のユーザまででネットワークを構築した時に,3か月間でその中からどれだけ新しいユーザをコンタクト先に追加したのかを調査している.
を調査している.研究としては,細かい調査を合わせ技でやってき感じである.データサイズが大きく,調査結果には文句のつけようがない.ただし,同じような調査はこれまで小規模なデータではやられている.特にメールの送受信の関係と組織の階層構造の関係は社会学で研究されてきている.良くも悪くも,データを持っている者勝ち的な論文である.
ただし,クラウドコンピューティングにおける事業者の圧倒的な優位性を確認させられる論文ともいえる.この先20年,パーソナライゼーションなどの新規サービスがビジネスの勝ち負けに影響する可能性が高く,Google, Microsoftの潜在的脅威を感じさせる論文ともいえる.

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